ダンボールパレットの強度は問題ない?特徴と実用性を徹底解説

スムーズな物流業務には、パレットが欠かせません。

パレットの素材は木やプラスチックなど複数種類が存在してますが、近年はダンボール製のタイプも注目を集めています。

ダンボールパレットと聞くと、荷物の重量に耐えられるのかと強度に疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ダンボールパレットの特徴やメリットとともに、使用時に意識すべきポイントを紹介します。

需要拡大中のダンボールパレットとは

ダンボールパレットとは、物流や倉庫の現場で使用されるパレットをダンボール素材で製作したものです。

木やプラスチックで製作されたパレットと同じく、大量の荷物を一度に運搬できます。

ダンボール素材といっても、通販や引越し現場で使用される箱のようなタイプではありません。

強度を増した強化ダンボールでパレットを製作しているため丈夫にできており、荷物運搬にも問題なく使用できます。

強化ダンボールとは、パルプ原紙を原料として使うことで、強度を高めているダンボールのことです。

一般的なダンボールは古紙回収されたダンボールなどをリサイクルした素材からできており、パルプが短くなっています。

真新しいパルプ原紙を使用すると1本1本の繊維が長くなり、通常のダンボールよりも強度が高くなるのが特徴です。

近年はエコやコスト削減目的で、さまざまな現場で強化ダンボール製パレットへの注目が集まりつつあります。

従来のパレットとダンボール製の違い

従来品の中でもっとも高い需要があるのは、木製パレットです。

木を素材とした木製パレットは製造時に金型を必要としないため、サイズのオーダーメイドがしやすいメリットをもっています。

金型を使用して製造するプラスチックパレットにはないメリットですが、サイズ展開はダンボールパレットでも実現しやすく、木製ならではの特徴ではなくなりつつあります。

ここでは、従来品の代表格である木製パレットと、強化ダンボール製のパレットの違いを紹介します。

コストの違い

パレットを作るときにかかるコストは、木製とダンボール製で大きく変わります。

一般的には、木製よりもダンボール製のほうが安価です。

矢野紙器株式会社の場合、ダンボール箱と木箱を比較すると資材費用にして15%〜20%のコストダウンとなります。

また、強化ダンボールパレットを使用することでコストダウンが期待できるのは、資材費用のみではありません。

たとえば海外輸送時は木製と違い燻蒸処理が不要となるため、輸送費が安く済みます。

燻蒸処理とは、荷物の海外輸出時に病害虫が紛れることを防ぐ目的で、世界80か国以上で国際基準にもとづいて求められている対策方法です。

近年は実際に燻蒸処理の手間や費用を避ける目的で、強化ダンボール製のパレットを海外出荷時に使用する企業もあります。

重量の違い

重量においても、強化ダンボールを使用したパレットのほうが木製タイプよりも軽くなります。

縦1m×横1m×厚み9mmの合板と同サイズの強化ダンボールシートを比較した場合、重量は下記のとおりです。

合板約7kg
強化ダンボール約1.6kg

パレットの形状に加工したものは、木製で20kg程度、強化ダンボール製パレットはサイズや構造の違いで左右されつつも、数kg程度です。

構造によっては、木製パレットの3分の1以下の重量になる場合もあります。

軽量の強化ダンボールを使用したパレットなら、荷物そのものの軽量化にもつながります。

処分コストの違い

使用後の処分コストも、事業を円滑に運営するためには重視すべきポイントです。

木製パレットと異なり、ダンボールのみで作られたタイプは古紙回収に出せるため、産廃処理の費用がかかりません。

パレットの原料となる強化ダンボールも、通常のダンボールと同じ手順で古紙として廃棄できます。

木製パレットは通常のゴミとしては廃棄できず、産廃処理扱いとなります。

目安として、産廃処理には廃プラ系混合廃棄物で16,000円~(1㎥あたり)、軽量混合廃棄物で13,000円~(1㎥あたり)、再生木くずで5,000円~(1㎥あたり)程度の費用がかかります。(出典:埼玉産業廃棄物処理センター「産業廃棄物(産廃)処理料金表」)

産廃業者によっては、木製パレットの状態のままで引き取ってくれることがあります。

ただし有料である点に変わりはなく、1kgあたり15円かかるので重量があるものほど高くつくのが特徴です。

強度の違い

強度においては、木製パレットに軍配が上がります。

木製パレットの耐荷重は一般的に数十トンのものが多く、強化ダンボールの倍以上の強度です。

ただし、矢野紙器株式会社の強化ダンボールパレットは、耐圧試験で4トン以上を記録しています。

4トン以上と曖昧なのは、試験用のマシンで計測できる数値が最大4トンまでだったためです。

物流業界でパレットを使用するほとんどの積載物は、5トンにも満たない重さです。

よって強化ダンボールを使用したパレットでも問題なく現場で活用できます。

プラスチック製とダンボールパレットの違い

木製の他には、プラスチック製のパレットも多く使用されています。

プラスチック製のメリットは湿気に強く、カビや虫害、腐食の心配がないことです。

金型を使用して成型するため、釘が飛び出ることもありません。

一方でプラスチック製パレットにも「強化ダンボールに比べると重量がある」「リサイクルしにくいうえ産廃処理の費用がかかる」などのデメリットがあげられます。

湿気や虫による劣化が不安な現場には、プラスチック製パレットが向いています。

また、前述のとおりプラスチック製パレットは金型を作成するため、サイズ展開が容易ではありません。

新たに金型を作成する必要がある分、コストが余計にかかります。

ダンボールパレットは金型を作成する必要なく、手軽にさまざまなサイズを製作できます。

単純にコスト重視でパレットを選ぶのであれば、処分費用も含めると強化ダンボール製のパレットがおすすめです。

ダンボールパレットを使用するときの注意点

ダンボールパレットはエコの観点からも、コスト面からもメリットが多いのが魅力です。

しかし、木製やプラスチック製にいくつかのデメリットがあるように、ダンボールパレットもメリットばかりではありません。

安全に使用するためには、デメリットも理解したうえで適切に取り扱うことが大切です。

ここからはダンボールパレットのデメリットを軽減するために、使用するときの注意点を3つ紹介します。

湿気・水気は避けよう

ダンボールパレットを使用する現場は、湿気や水気を避けましょう。

強度に優れた強化ダンボールを使用していても、原料は紙なので水に弱い特性は変わりません。

コーティングで多少水気を避けられる場合もありますが、強度を重視するなら湿気や水気のある場所での使用は避けた方が無難です。

長期利用は避けよう

強度があるといっても、木製やプラスチック製に比べると繰り返し使える回数に限界があります。

とくに日本は夏場を中心に湿気がたまりやすい気候をしているため、季節や地域によっては注意が必要です。

長期的に使用するよりも、ダンボールパレットは一時保管や海外輸出などのワンウェイとしての使用に向いています。

ダンボールパレットなら輸出先でも燻蒸処理の手間がないうえリサイクルしやすいため、喜ばれるでしょう。

近年はサスティナブルな素材への移行や脱プラスチックに力を入れている企業、国や地域が多く、リサイクルしやすいパレットは企業のイメージアップが期待できます。

荷物はバランス良く積もう

荷物の積み方も、ダンボールパレットを安全に使用するためのポイントです。

一点集中で重いものを載せ続けると、凹みなどの原因となるおそれがあります。

重量を分散させるように、荷物はバランス良く積むことが大切です。

荷物の積み方はダンボールパレットに限らず、運搬時の荷崩れを防ぐためには、他の素材でも注意すべきポイントといえます。

フォークリフトなどで運んだり積み込んだりするときも、バランスが取れていれば落下事故のリスクを軽減できます。

ダンボールパレットの製作は矢野紙器株式会社にご相談ください

ダンボールパレットは、製作事例が豊富な矢野紙器株式会社にお任せください。

矢野紙器株式会社なら、小ロットでの製作にも柔軟に対応しております。

最初にお客様のご要望をヒアリングして最適な構造のパレットを提案しますので、特殊な形状やサイズの小型化などもご相談いただけます。

矢野紙器株式会社の特徴は、優れた加工技術とUVインクジェット印刷により、フルカラーやロゴ印刷などオリジナルデザインのパレット製作も可能なことです。

オリジナルデザインのダンボールパレットは、倉庫用としてはもちろん、自社をPRしたい海外輸出やイベント会場でもご活用いただけるマストアイテムです。

繊細なデザインを得意とするUVインクジェット印刷なら、写真やグラデーションの再現もできます。

まとめ

強化ダンボールを使用したパレットは、水濡れなどに注意すれば、海外輸出や物流倉庫でも活用できる強度を有しています。

木製パレットのように海外輸出時に燻蒸処理を施す必要がなく、プラスチックパレットのように処分で特別な費用や手続きが求められることもありません。

湿気の多い日本国内での使用では、環境次第では長期利用は困難とはいえ重量に対する強度はあるため、さまざまな現場で活用できます。

矢野紙器株式会社では、ダンボールパレットのご注文を小ロットから対応しております。

「表面に社名を入れてほしい」「自社の倉庫に合ったサイズにしてほしい」など、仕様に関するご要望にも柔軟にお応えしますので、ぜひ一度お問い合わせください。